]徳川三位中将
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今般版籍奉還の儀につき、深く時勢を察せられ、広く公議を採らせられ、政令帰一の思《おぼ》し召しをもって、言上《ごんじょう》の通り聞こし召され候《そうろう》事。
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とある。
これは新政府行政官から出たもので、主上においても嘉納《かのう》あらせられたとの意味の通知である。総管所からはこの趣を村じゅうへもれなく申し聞けよとも書付を添えて、庄屋としての半蔵のもとへ送り届けて来たものである。
すでに起こって来た木曾福島の関所の廃止、代官所廃止、種々《さまざま》な助郷名目の廃止、刎銭《はねせん》の廃止、問屋の廃止、会所の廃止――この大きな改革は、とうとうここまで来た。さきに版籍奉還を奏請した西南の諸侯はあっても、まだそれが実顕の運びにも至らないうちに、尾州家が率先してこのことを行ない、名を譲って実をあげようとするは、いわれのないことでもない。徳川御三家の随一として、水戸に対し、紀州に対し、その他の多くの諸侯に対し、大義名分を正そうとする尾州家にこのことのあるのは不思議でもない。あの徳川慶喜が大政を奉還し将軍職を辞退した当時、広大な
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