ていない――そんな話が継母の口から出る。時節がら、その年の節句祝いも簡単にして、栄吉、清助の内輪のものを招くだけにとどめて置いたとの話も出る。
 吉左衛門は思い出したように、
「いや、こういうことになって来るわい。今までおれも黙って見てたが、あの参覲交代が御廃止になったと聞いた時に、おれはもうあることに打《ぶ》つかったよ。」
「……」
「半蔵、本陣や庄屋はどうなろう。」
「それがです、本陣、庄屋、それに組頭《くみがしら》だけは、当分これまでどおりという御沙汰《ごさた》がありました。それも当分と言うんですから、改革はそこまで及んで行くかもしれません。」
 その返事を聞くと、吉左衛門は半蔵の顔をながめたまましばらく言葉もなかった。


「しかし、きょうはお父さんもお疲れでしょう。すこし横にでもおなりなすったら。」と半蔵が言葉をつづけた。
「それがいい。そう話に身が入っちゃ、えらい。」とおまんも言う。
「じゃ、そうするか。この節は宵《よい》から寝てばかりさ。おまんもおれにかぶれたと見えて、おれが横になれば、あれも横になる。」
 吉左衛門はそんなことを半蔵に言って見せて、笑って、おまんの勧める
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