や更始一新、王政復古の日に当たり、眼前の急務は何よりまずこの弊習を打ち破るにある。よろしく本朝の聖時に則《のっ》とらせ、外国の美政をも圧するの大英断をもって、帝自ら玉簾の内より進みいでられ、国々を巡《めぐ》らせたまい、簡易軽便を本として万民を撫育《ぶいく》せられるようにと申上げたものがある。さてこそ、この未曾有《みぞう》の行幸ともなったのである。
 そればかりではない。もっと大きな事が、この行幸のあとに待っていた。皇居を京都から東京に還《うつ》し、そこに新しい都を打ち建てよとの声が、それだ。もし朝廷において一時の利得を計り、永久治安の策をなさない時には、すなわち北条《ほうじょう》の後に足利《あしかが》を生じ、前姦《ぜんかん》去って後奸《こうかん》来たるの覆轍《ふくてつ》を踏むことも避けがたいであろう。今や、内には崩《くず》れ行く中世的の封建制度があり、外には東漸するヨーロッパの勢力がある。かくのごとき社会の大変態は、開闢《かいびゃく》以来、いまだかつてないことであろうとは、もはや、だれもがそれを疑うものもない。この際、深くこの国を注目し、世界の大勢をも洞察《どうさつ》し、国内のものが同
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