砲撃には浪人も加わっていた。半蔵はこの報知《しらせ》を自分で読み、隣家の伊之助のところへも持って行って読ませた。多くの人にとって、異国は未知数であった。時局は容易ならぬ形勢に推し移って行きそうに見えて来た。


 そこへ大坂御番衆の通行だ。五月も末のことであったが、半蔵は朝飯をすますとすぐ庄屋らしい平袴《ひらばかま》を着けて、問屋場の方へ行って見た。前の晩から泊まりがけで働きに来ている百人ばかりの伊那《いな》の助郷《すけごう》が二組に分かれ、一組は問屋九郎兵衛の家の前に、一組は半蔵が家の門の外に詰めかけていた。
「上清内路《かみせいないじ》村。下清内路《しもせいないじ》村。」
 と呼ぶ声が起こった。村の名を呼ばれた人足たちは問屋場の前に出て行った。そこには栄吉が助郷村々の人名簿をひろげて、それに照らし合わせては一人一人百姓の名を呼んでいた。
「お前は清内路か。ここには座光寺《ざこうじ》[#ルビの「ざこうじ」は底本では「さこうじ」]のものはいないかい。」
 と半蔵が尋ねると、
「旦那《だんな》、わたしは座光寺です。」
 と、そこに集まる百姓の中に答えるものがあった。
 清内路とは半蔵が同
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