う当日には、半蔵は午後から店座敷に敷いてあった寝床を畳んだ。下痢も止まったばかりで、彼はまだ青ざめた顔をしていたが、それでもお民に手伝わせて部屋《へや》の内を掃き、袋戸棚《ふくろとだな》に続いている床の間を片づけた。
 遙拝《ようはい》のしるしばかりに国学四大人の霊号を書きつけたものが、やがてその床の間に飾られた。荷田宿禰羽倉大人《かだのすくねはくらのうし》。賀茂県主岡部大人《かものあがたぬしおかべのうし》。秋津彦瑞桜根大人《あきつひこみずさくらねのうし》。神霊能真柱大人《たまのみはしらのうし》。あだかもそれらの四人の大先輩はうちそろってこの辺鄙《へんぴ》な山家へ訪れて来たかのように。そして、半蔵夫婦が供える神酒《みき》や洗米《せんまい》なぞを喜び受けるかのように。
 こういう時になくてならないのは清助の手だ。手先のきく清助は半蔵よりずっと器用に、冬菜《ふゆな》、鶯菜《うぐいすな》、牛蒡《ごぼう》、人参《にんじん》などの野菜を色どりよく取り合わせ、干し柿《がき》の類をも添え、台の上に載せて、その床の間を楽しくした。
 半蔵夫婦が子供も大きくなった。姉のお粂《くめ》は十二歳、弟の宗太は十
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