からね、あの兼吉《かねきち》に二俵、道之助に七斗、半四郎に五俵二斗――都合、三口合わせて三石七斗は容赦すると言っているんですよ。」
金兵衛の挨拶《あいさつ》だ。
半蔵はこの人の言うことばかりを聞いていられなかった。庄屋としての彼は、どんな骨折りでもして、小前の者を救わねばならないと考えた。この際、木曾福島からの見分奉行《けんぶんぶぎょう》の出張を求め、場合によっては尾州代官山村|甚兵衛《じんべえ》氏をわずらわし、木曾谷中の不作を名古屋へ訴え、すくなくも御年貢上納の半減をきき入れてもらいたいと考えた。
あいにくな雨の日がまたやって来た。もうたくさんだと思う大雨が朝から降り出して、風の方角も北から西に変わった。本陣の奥座敷では床上《ゆかうえ》がもり、袋戸棚《ふくろとだな》へも雨が落ちた。半蔵は自分の家のことよりも村方を心配して、また町内を見回るために急いでしたくした。腰に結ぶ軽袗《かるさん》の紐《ひも》もそこそこに、寛《くつろ》ぎの間《ま》から囲炉裏ばたに出て下男の佐吉を呼んだ。
「オイ、蓑《みの》と笠《かさ》だ。」
その足で半蔵は町田の向こうまで行って見た。雨にぬれた穂先は五、六
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