玉筒二|挺《ちょう》、小銃五十挺ほどだ。物頭の計らいで、松本方三百五十人への一度分の弁当、白米三俵、味噌《みそ》二|樽《たる》、漬《つ》け物一樽、それに酒二樽を贈った。
 樋橋付近の砦《とりで》の防備、および配置なぞは、多くこの物頭の考案により、策戦のことは諏訪藩銃隊頭を命ぜられた用人塩原彦七の方略に出た。日がな一日降りしきる強雨の中で、蓑笠《みのかさ》を着た数百人の人夫が山から大木を伐《き》り出す音だけでも周囲に響き渡った。そこには砲座を定めて木の幹を畳《たた》むものがある。ここには土居を築き土俵を積んで胸壁を起こすものがある。下諏訪《しもすわ》から運ぶ兵糧《ひょうろう》では間に合わないとあって、樋橋には役所も設けられ、炊《た》き出しもそこで始まった。この工事は夜に入って松明《たいまつ》の光で谷々を照らすまで続いた。垂木岩《たるきいわ》の桟《かけはし》も断絶せられ、落合橋《おちあいばし》も切って落とされた。村上の森のわきにあたる街道筋には篝《かがり》を焚《た》いて、四、五人ずつの番士が交代でそこに見張りをした。


 水戸浪士の西下が伝わると、沿道の住民の間にも非常な混乱を引き起こし
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