そむけて、深い砂塵《すなぼこり》の通り過ぎるのを待った。乾燥しきった道路に舞い揚がる塵埃《ほこり》で、町の空までが濁った色に黄いろい。
両国の旅籠屋《はたごや》に戻ってから、三人は二階で※[#「ころもへん+上」、第4水準2−88−9]※[#「ころもへん+下」、第4水準2−88−10]《かみしも》をぬいだり、腰につけた印籠《いんろう》を床の間に預けたりして、互いにその日のことを語り合った。
「とにかく、きょうの模様を国の方へ報告して置くんですね。」
「早速福島の方へそう言ってやりましょう。」
「わたしも一つ馬籠《まごめ》へ手紙を出して、仕訳帳《しわけちょう》を至急取り寄せなけりゃならない。」
多くの江戸の旅人宿と同じように、十一屋にも風呂場《ふろば》は設けてない。半蔵らは町の銭湯へ汗になったからだを洗いに行ったが、手ぬぐいを肩にかけて帰って来るころは、風も静まった。家々の表に打たれる水も都会の町中らしい時が来た。十一屋では夕飯も台所で出た。普通の場合、旅客は皆台所に集まって食った。
食後に、半蔵らが二階にくつろいでいると、とかく同郷の客はなつかしいと言っている話し好きな十一屋の隠居
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