どう》したの、男の教員が斯様《かう》したのツて。何故《なぜ》、左様《さう》人の噂が為たいんだらう。そんなら、君、まあ学校の職員を数へて見給へ。穢多らしいやうな顔付のものが吾儕の中にあるかい。実に怪しからんことを言ふぢやないか――ねえ、瀬川君。』
 斯う言つて、銀之助は丑松の方を見た。丑松は無言で、白い毛布に身を包んだまゝ。
『はゝゝゝゝ。』と銀之助は笑ひ出した。『校長先生は随分|几帳面《きちやうめん》な方だが、なんぼなんでも新平民とは思はれないし、と言つて、教員仲間に其様なものは見当りさうも無い。左様さなあ――いやに気取つてるのは勝野君だ――まあ、其様な嫌疑のかゝるのは勝野君位のものだ。』
『まさか。』と準教員も一緒になつて笑つた。
『そんなら、君、誰だと思ふ。』と銀之助は戯れるやうに、『さしづめ、君ぢやないか。』
『馬鹿なことを言ひ給へ。』と準教員はすこし憤然《むつ》とする。
『はゝゝゝゝ、君は直に左様《さう》怒《おこ》るから不可《いかん》。なにも君だと言つた訳では無いよ。真箇《ほんたう》に、君のやうな人には戯語《じようだん》も言へない。』
『しかし。』と準教員は真面目《まじめ》に成
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