破戒
島崎藤村

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)蓮華寺《れんげじ》では

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)瀬川|丑松《うしまつ》が

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)紫※[#「くさかんむり/宛」、第3水準1−90−92]《しをん》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)吾儕《われ/\》
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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[#ここから3字下げ]
この書の世に出づるにいたりたるは、函館にある秦慶治氏、及び信濃にある神津猛氏のたまものなり。労作終るの日にあたりて、このものがたりを二人の恩人のまへにさゝぐ。
[#ここで字下げ終わり]


   第壱章

       (一)

 蓮華寺《れんげじ》では下宿を兼ねた。瀬川|丑松《うしまつ》が急に転宿《やどがへ》を思ひ立つて、借りることにした部屋といふのは、其|蔵裏《くり》つゞきにある二階の角のところ。寺は信州|下水内郡《しもみのちごほり》飯山町二
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