ふゝぢや解らないねえ。奈何《どん》な新しい事実か、まあ話して聞かせて呉れ給へ。』
『しかし、校長先生、私から其様《そん》な話が出たといふことになりますと、すこし私も迷惑します。』
『何故《なぜ》?』
『何故ツて、左様ぢや有ませんか。私が取つて代りたい為に、其様なことを言ひ触らしたと思はれても厭ですから――毛頭私は其様な野心が無いんですから――なにも瀬川君を中傷する為に、御話するのでは無いんですから。』
『解つてますよ、其様なことは。誰が君、其様なことを言ふもんですか。其様な心配が要るもんですか。君だつても他の人から聞いたことなんでせう――それ、見たまへ。』
文平が思はせ振な様子をして、何か意味ありげに微笑めば微笑むほど、余計に校長は聞かずに居られなくなつた。
『では、勝野君、斯ういふことにしたら可《いゝ》でせう。我輩は其話を君から聞かない分にして置いたら可《いゝ》でせう。さ、誰も居ませんから、話して聞かせて呉れ給へ。』
斯う言つて、校長は一寸文平に耳を貸した。文平が口を寄せて、何か私語《さゝや》いて聞かせた時は、見る/\校長も顔色を変へて了《しま》つた。急に戸を叩く音がする。ついと
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