もとめる犬のやうに、丑松の前に平身低頭したのである。
 丑松はすこし蒼《あをざ》めて、
『どうも左様《さう》貴方のやうに、独りで物を断《き》めて了《しま》つては――』
『いや、是非とも私を助けると思召して。』
『まあ、私の言ふことも聞いて下さい。どうも貴方の御話は私に合点《がてん》が行きません。だつて、左様《さう》ぢや有ますまいか。なにも貴方等《あなたがた》のことを私が世間の人に話す必要も無いぢや有ませんか。全く、私は貴方等と何の関係も無い人間なんですから。』
『でも御座《ござい》ませうが――』
『いえ、其では困ります。何も私は貴方等を御助け申すやうなことは無し、私は亦《また》、貴方等から助けて頂くやうなことも無いのですから。』
『では?』
『ではとは?』
『畢竟《つまり》そんなら奈何して下さるといふ御考へなんですか。』
『どうするも斯《か》うするも無いぢや有ませんか。貴方と私とは全く無関係――はゝゝゝゝ、御話は其丈《それだけ》です。』
『無関係と仰ると?』
『是迄《これまで》だつて、私は貴方のことに就いて、何《なんに》も世間の人に話した覚は無し、是から将来《さき》だつても矢張《やはり
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