から其方へ飛込んで了つたものは、今となつて見ると最早《もう》奈何することも出来ません。第一、今日の政事家で政論に衣食するものが幾人《いくたり》ありませう。実際|吾儕《わたしども》の内幕は御話にならない。まあ、斯様《こん》なことを申上げたら、嘘のやうだと思召すかも知れませんが、正直な御話が――代議士にでもして頂くより外《ほか》に、さしあたり吾儕の食ふ道は無いのです。はゝゝゝゝ。何と申したつて、事実は事実ですから情ない。もし私が今度の選挙に失敗すれば、最早につちもさつちもいかなくなる。どうしても此際《こゝ》のところでは出るやうにして頂かなければならない。どうしても貴方に助けて頂かなければならない。それには先づ貴方に御縋《おすが》り申して、家内のことを世間の人に御話下さらないやうに。そのかはり、私も亦《また》、貴方のことを――それ、そこは御相談で、御互様に言はないといふやうなことに――何卒《どうか》、まあ、私を救ふと思召《おぼしめ》して、是話《このはなし》を聞いて頂きたいのです。瀬川さん、是は私が一生の御願ひです。』
急に高柳は白い毛布を離れて、畳の上へ手を突いた。丁度|哀憐《あはれみ》を
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