よう――斯《か》ういふ約束で別れた。丑松は叔父と連立つて一歩《ひとあし》先へ出掛けた。
屠牛場近く行けば行く程、亡くなつた牧夫のことが烈しく二人の胸に浮んで来た。二人の話は其|追懐《おもひで》で持切つた。他人が居なければ遠慮も要《い》らず、今は何を話さうと好自由《すきじいう》である。
『なあ、丑松。』と叔父は歩き乍ら嘆息して、『へえ、もう今日で六日目だぞよ。兄貴が亡くなる、お前《めへ》がやつて来る。葬式《おじやんぼん》を出す、御苦労招びから、礼廻りと、丁度今日で六日目だ。あゝ、明日は最早《もう》初七日だ。日数の早く経《た》つには魂消《たまげ》て了ふ。兄貴に別れたのは、つい未だ昨日のやうにしか思はれねえがなあ。』
丑松は黙つて考へ乍ら随いて行つた。叔父は言葉を継いで、
『真実《ほんたう》に世の中は思ふやうに行かねえものさ。兄貴も、是から楽をしようといふところで、彼様《あん》な災難に罹るなんて。まあ、金を遺《のこ》すぢや無し、名を遺すぢや無し、一生苦労を為つゞけて、其苦労が誰の為かと言へば――畢竟《つまり》、お前や俺の為だ。俺も若え時は、克《よ》く兄貴と喧嘩して、擲《なぐ》られたり、泣
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