(四)

 丑松が急いで蓮華寺へ帰つた時は、奥様も、お志保も飛んで出て来て、電報の様子を問ひ尋ねた。奈何《どんな》に二人は丑松の顔を眺めて、この可傷《いたま》しい報知《しらせ》の事実を想像したらう。奈何に二人は昨夜の不思議な出来事を聞取つて、女心に恐しくあさましく考へたらう。奈何に二人は世にある多くの例《ためし》を思出して、死を告げる前兆《しらせ》、逢ひに来る面影、または闇を飛ぶといふ人魂《ひとだま》の迷信なぞに事寄せて、この暗合した事実に胸を騒がせたらう。
『それはさうと、』と奥様は急に思付いたやうに、『まだ貴方は朝飯前でせう。』
『あれ、左様《さう》でしたねえ。』とお志保も言葉を添へた。
『瀬川さん。そんなら準備《したく》して御出《おいで》なすつて下さい。今直に御飯にいたしますから。是《これ》から御出掛なさるといふのに、生憎《あいにく》何にも無くて御気の毒ですねえ――塩鮭《しほびき》でも焼いて上げませうか。』
 奥様はもう涙ぐんで、蔵裏《くり》の内をぐる/\廻つて歩いた。長い年月の精舎《しやうじや》の生活は、この女の性質を感じ易く気短くさせたのである。
『なむあ
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