にして呉れたまへ。及ばずながら君のことに就いては、我輩も出来るだけの力を尽すつもりだ。世の中のことは御互ひに助けたり助けられたりさ――まあ、勝野君、左様《さう》ぢや有ませんか。今|茲《こゝ》で直に異分予を奈何《どう》するといふ訳にもいかない。ですから、何か好い工夫でも有つたら、考へて置いて呉れたまへ――瀬川君のことに就いて何か聞込むやうな場合でも有つたら、是非それを我輩に知らせて呉れたまへ。』
(四)
盛んな遊戯の声がまた窓の外に起つた。文平は打球板《ラッケット》を提げて出て行つた。校長は椅子を離れて玻璃《ガラス》の戸を上げた。丁度運動場では庭球《テニス》の最中。大人びた風の校長は、まだ筋骨の衰頽《おとろへ》を感ずる程の年頃でも無いが、妙に遊戯の嫌ひな人で、殊に若いものゝ好な庭球などゝ来ては、昔の東洋風の軽蔑《けいべつ》を起すのが癖。だから、『何を、児戯《こども》らしいことを』と言つたやうな目付して、夢中になつて遊ぶ人々の光景《ありさま》を眺めた。
地は日の光の為に乾き、人は運動の熱の為に燃えた。いつの間にか文平は庭へ出て、遊戯の仲間に加つた。銀之助は今、文平の組
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