な調子で言って、更に語《ことば》を継いで、
「もう私は士族は駄目だという論だ。小諸ですこし骨《ほね》ッ柱《ぱし》のある奴は塾の正木ぐらいなものだ」
 学士と高瀬はしばらくその人の前に立った。
「御覧なさい、御城の周囲《まわり》にはいよいよ滅亡の時期がやって来ましたよ……これで二三年前までは、川へ行って見ても鮎《あゆ》やハヤ(鮠)が捕れたものでサ。いくら居なくなったと言っても、まだそれでも二三年前までは居ました……この節はもう魚も居ません……この松林などは、へえもう、疾《とっ》くに人手に渡っています……」
 口早に言ってサッサと別れて行く人の姿を見送りながら、復た二人は家を指して歩き出した。実に、学士はユックリユックリ歩いた。

 烏帽子山麓《えぼしさんろく》に寄った方から通って来る泉が、田中で汽車に乗るか、又は途次《みちみち》写生をしながら小諸まで歩くかして、一週に一二度ずつ塾へ顔を出す日は、まだそれでも高瀬を相手に話し込んで行く。この画家は欧羅巴《ヨーロッパ》を漫遊して帰ると間もなく眺望の好い故郷の山村に画室を建てたが、引込んで研究ばかりしていられないと言っては、やって来た。
 高瀬
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