真理を証するかのように、コップの中でグルグル廻って、身を悶《もだ》えて、死んだ。
「最早マイりましたかネ」と学士も笑った。
間もなく学士は高瀬と一緒に成った。二人が教員室の方へ戻って行った時は、誰もそこに残っていなかった。桜井先生の室の戸も閉っていた。
正木大尉も帰った後だった。学士は幹事室に預けてある自分の弓を取りに行って、復た高瀬の側へ来た。
「どうです、弓は。この節はあまり御彎《おひ》きに成りませんネ」
誘うように言う学士と連立って、高瀬はやがて校舎の前の石段を降りた。
生徒も大抵帰って行った。音吉が独り残って教室々々を掃除する音は余計に周囲《まわり》をヒッソリとさせた。音吉の妻は子供を背負《おぶ》いながら夫の手伝いに来て、門に近い教室の内で働いていた。
学士は親しげな調子で高瀬に話した。
「音さんの細君はもと正木先生の許《ところ》に奉公していたんですッてネ。音さんが先生の家の畠を造りに行くうちに、畢寛《つまり》出来たんでしょう……先生があの二人を夫婦にしてやったんでしょうネ」
二人が塵払《はたき》の音のする窓の外を通った時は、岩間に咲く木瓜《ぼけ》のように紅い女の顔
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