へ茶を運んで来た。
この子供衆の多勢ゴチャゴチャ居る中で、学士が一服やりながら朝顔鉢を眺めた時は、何もかも忘れているかのようであった。
「今咲いてますのは、ホンの丸咲か、牡丹《ぼたん》種ぐらいなものです」と学士は高瀬に言った。「真実《ほんとう》の獅子《しし》や手長と成ったら、どうしても後《おく》れますネ。そのうちに一つ塾の先生方を御呼び申したい……何がなくとも皆さんに集って頂いて、これで一杯|進《あ》げられるようだと可《い》いんですけれど……」
翌朝高瀬は塾へ出ようとして、例のように鉄道の踏切のところへ出た。線路を渡って行く塾の生徒などもあった。丁度そこで与良町《よらまち》の方からやって来る子安に逢った。毎時《いつも》言い合せたように皆なの落合うところだ。高瀬は子安を待合せて、一諸に塾の方へ歩いた。
線路|側《わき》の柵について先へ歩いて行く広岡学士の後姿も見えた。
「広岡先生が行くナ」と高瀬が言った。
子安も歩き歩き、「なんでもあの先生が上田から通って被入《いら》っしゃる時分には、大変お酒に酔って、往来の雪の中に転がっていたことがあるなんて――そんな話ですネ」
「私も聞きま
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