》を吹《ふ》き/\出掛《でか》けました。
あの飴屋《あめや》さんの吹《ふ》く笛《ふえ》は、そこいらの石垣《いしがき》へ浸《し》みて行《い》くやうな音色《ねいろ》でした。
三四 水晶《すゐしやう》のお土産《みや》
ある日《ひ》、父《とう》さんは人《ひと》に連《つ》れられて梵天山《ぼんてんやま》といふ方《はう》へ行《い》きました。赤《あか》い躑躅《つゝじ》の花《はな》なぞの咲《さ》いて居《ゐ》る山路《やまみち》を通《とほ》りまして、その梵天山《ぼんてんやま》へ行《い》つて見《み》ますと、そこは水晶《すゐしやう》の出《で》る山《やま》でした。父《とう》さんはめづらしく思《おも》ひまして、あちこちと見《み》て歩《ある》いて居《ゐ》ますと、路《みち》ばたに大《おほ》きな岩《いは》がありました。その岩《いは》が父《とう》さんに、彼處《あそこ》を御覽《がらん》、こゝを御覽《ごらん》、と言《い》ひまして、半分《はんぶん》土《つち》のついた水晶《すゐしやう》がそこいらに散《ち》らばつて居《ゐ》るのを指《さ》して見《み》せました。
『あそこにも水晶《すゐしやう》の塊《かたまり》がありますよ。』
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