《の》にも畠《はたけ》にもある事《こと》を知《し》りました。竹籔《たけやぶ》から取《と》つて來《き》た青《あを》い竹《たけ》の子《こ》、麥畠《むぎばたけ》から取《と》つて來《き》た黄色《きいろ》い麥藁《むぎわら》で、翫具《おもちや》を手造《てづくり》にする事《こと》の言《い》ふに言《い》はれぬ樂《たの》しい心持《こゝろもち》を覺《おぼ》えました。
畠《はたけ》の隅《すみ》に堤燈《ちやうちん》をぶらさげたやうな酸醤《ほゝづき》が、父《とう》さんに酸醤《ほゝづき》の實《み》を呉《く》れまして、その心《しん》を出《だ》してしまつてから、古《ふる》い筆《ふで》の軸《ぢく》で吹《ふ》いて御覽《ごらん》と教《をし》へて呉《く》れました。筆《ふで》の軸《ぢく》は先《さき》の方《はう》だけを小刀《こがたな》か何《なに》かで幾《いく》つにも割《わ》りまして、朝顏《あさがほ》のかたちに折《を》り曲《ま》げるといゝのです。その受口《うけくち》へ玉《たま》のやうにふくらめた酸醤《ほゝづき》をのせ、下《した》から吹《ふ》きましたら、輕《かる》い酸醤《ほゝづき》がくる/\と舞《ま》ひあがりました。そして朝顏《あさ
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