をど》つて歩《ある》きました。
僅《わづ》か一晩《ひとばん》ばかりのうちに竹《たけ》の子《こ》はずんずん大《おほ》きくなりました。雀《すずめ》が寢《ね》て起《お》きて、また竹《たけ》やぶへ遊《あそ》びに行《い》きますと、きのふまで見《み》えなかつたところに新《あたら》しい竹《たけ》の子《こ》が出《で》て來《き》たのがあります。きのふまで小《ちひ》さな竹《たけ》の子《こ》だと思《おも》つたのが、僅《わづ》か一晩《ひとばん》ばかりで、びつくりするほど大《おほ》きくなつたのがあります。
雀《すずめ》はおどろいて、母《かあ》さまのところへ飛《と》んで行《い》きました。母《かあ》さまにその話《はなし》をして、どうしてあの小《ちひ》さな竹《たけ》の子《こ》があんなに急《きふ》に大《おほ》きくなつたのでせうと尋《たづ》ねました。すると母《かあ》さまは可愛《かあい》い雀《すずめ》を抱《だ》きまして、
『お前《まへ》は初《はじ》めて知《し》つたのかい、それが皆《みな》さんのよく言《い》ふ「いのち」(生命)といふものですよ。お前《まへ》たちが大《おほ》きくなるのもみんなその力《ちから》なんですよ。』
と話
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