て復《また》滑《すべ》りに行《ゆ》くのも樂《たのし》みでした。どうかすると凍《こゞ》つて鏡《かゞみ》のやうに光《ひか》つて來《き》ます。その上《うへ》に白《しろ》く雪《ゆき》でも降《ふり》かゝると氷滑《こほりすべ》りの塲所《ばしよ》とも分《わか》らないことがあります。村《むら》の人達《ひとたち》が通《とほ》りかゝつて、知《し》らずに滑《すべ》つて轉《ころ》ぶことなぞもありました。
父《とう》さんはお前達《まへたち》のやうに、竹馬《たけうま》に乘《の》つて遊《あぞ》び廻《まは》ることも好《す》きでした。雪《ゆき》の日《ひ》には殊《こと》にそれが樂《たのし》みでした。大黒屋《だいこくや》の鐵《てつ》さん、問屋《とひや》の三|郎《らう》さんなどゝといふ近所《きんじよ》の子供《こども》が、竹馬《たけうま》で一|緒《しよ》になるお友達《ともだち》でした。そんな日《ひ》でも、馬《うま》が荷物《にもつ》をつけ、合羽《かつぱ》を着《き》た村《むら》の馬方《うまかた》に引《ひ》かれて雪《ゆき》の路《みち》を通《とほ》ることもありました。父《とう》さんが竹馬《たけうま》の上《うへ》から
『今日《こんにち》
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