ふせぐために大《おほ》きな石《いし》が並《なら》べて屋根《やね》の上《うへ》に載《の》せてありました。なんと、あの石《いし》を載《の》せた板屋根《いたやね》は山《やま》の中《なか》の住居《すまゐ》らしいでせう。山《やま》には大《おほ》きな檜木《ひのき》の林《はやし》もありますから、その厚《あつ》い檜木《ひのき》の皮《かは》を板《いた》のかはりにして、小屋《こや》の屋根《やね》なぞを葺《ふ》くこともありました。雪《ゆき》が來《く》ればさういふお家《うち》の屋根《やね》も埋《うづ》まつてしまひ、畠《はたけ》も白《しろ》くなり、竹藪《やけやぶ》も寢《ね》たやうになつてしまひます。
元気《げんき》な雀《すずめ》は、そんな歌《うた》[#ママ]に頓着《とんちやく》なしで、自分《じぶん》のお宿《やど》も忘れ《わす》れたやうに雪《ゆき》と一|緒《しよ》に踊《をど》つて歩《ある》きます。
坂路《さかみち》の多《おほ》い父《とう》さんの村《むら》では、氷滑《こほりすべ》りの出來《でき》る塲所《ばしよ》が行《ゆ》く先《さき》にありました。村《むら》の子供《こども》はみな鳶口《とびぐち》を持《も》つて凍《こゞ
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