東京《とうきやう》へ行《い》つたら、お前《まへ》の本箱《ほんばこ》のひきだしにでも入《い》れて置《お》くがいゝ。』
と言《い》つて呉《く》れました。それが祖父《おぢい》さんのおせんべつでした。
五七 伯父《をぢ》さんの床屋《とこや》
東京《とうきやう》をさして學問《がくもん》に行《ゆ》かうといふ頃《ころ》の友伯父《ともをぢ》さんも、父《とう》さんも、まだ二人《ふたり》とも馬籠風《まごめふう》に髮《かみ》を長《なが》くして居《ゐ》ました。友伯父《ともをぢ》さんはもう十二|歳《さい》でしたから、そんな山《やま》の中《なか》の子供《こども》のやうな髮《かみ》をして行つて東京《とうきやう》で笑《わら》はれては成《な》らないと、お家《うち》の人達《ひとたち》が言《い》ひました。
そこで友伯父《ともをぢ》さんだけは頭《あたま》を五|分刈《ぶがり》にして行《ゆ》くことに成《な》りました。[#底本では「。」が脱字]ところが、村《むら》には床屋《とこや》といふものが有《あ》りません。仕方《しかた》なしに、伯父《をぢ》さんが裏《うら》の桐《きり》の木《き》の下《した》へ友伯父《ともをぢ》さんを連
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