しやうぐわつ》のお飾《かざ》りを片付《かたづ》ける時分《じぶん》には、村中《むらぢう》の門松《かどまつ》や注連繩《しめなは》などを村《むら》のはづれへ持《も》つて行《い》つて、一|緒《しよ》にして燒《や》きました。村《むら》の人《ひと》はめい/\お餅《もち》を竿《さを》の先《さき》にさしてその火《ひ》で燒《や》いて食《た》べたり、子供《こども》のお清書《せいしよ》を煙《けむり》の中《なか》に投《な》げこんで、高《たか》く空《そら》にあがつて行《ゆ》く紙《かみ》の片《きれ》を眺《なが》めたりしました。火《ひ》の氣《け》と、煙《けむり》とで、お清書《せいしよ》が高《たか》くあがれば、それを書《か》いたものの手《て》があがると言《い》ひました。松《まつ》の燃《も》える煙《けむり》と一|緒《しよ》になつてお清書《せいしよ》が高《たか》く、高《たか》くあがつて行《ゆ》くのは丁度《ちやうど》凧《たこ》でもあげるのを見《み》るやうでした。その正月《しやうぐわつ》のお飾《かざり》を集《あつ》めて燒《や》く村《むら》のはづれまで行《ゆ》きますと、その邊《へん》にはびつくりするほど大《おほ》きな岩《いは》
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