も草臥《くたぶ》れるといふことを知《し》りません。ごろ/\ごろ/\石臼《いしうす》が言《い》ふのは、あれは好《い》い心持《こゝろもち》だからです。もつと、もつと、と唄《うた》を催促《さいそく》して居《ゐ》るのです。
そのかはり、すこし手《て》でもゆるめてやつて御覽《ごらん》なさい。居眠《ゐねむ》りの好《す》きな石臼《いしうす》は何時《いつ》の間《ま》にか動《うご》かなくなつて居《ゐ》ます。そして何時《いつ》までゞも居眠《ゐねむ》りをして居《ゐ》ます。
父《とう》さんのお家《うち》の石臼《いしうす》は青豆《あをまめ》を挽《ひ》くのが自慢《じまん》でした。それを黄粉《きなこ》にして、家中《うちぢう》のものに御馳走《ごちさう》するのが自慢《じまん》でした。山家育《やまがそだ》ちの石臼《いしうす》は爐邊《ろばた》で夜業《よなべ》をするのが好《す》きで、皸《ひゞ》や『あかぎれ』の切《き》れた手《て》も厭《いと》はずに働《はたら》くものゝ好《よ》いお友達《ともだち》でした。
五四 冬《ふゆ》の贈《おく》り物《もの》
峠《たうげ》の上《うへ》から村《むら》の小學校《せうがくかう》へ通《かよ
前へ
次へ
全171ページ中135ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
島崎 藤村 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング