》に向《むか》つて、
『お前《まへ》さんは毎日《まいにち》動《うご》いて居《ゐ》ますね。』
とは言《い》はなくなりました。水車《すゐしや》も、もう屋根《やね》の石《いし》に向《むか》つて、
『お前《まへ》さんは毎日《まいにち》座《すわ》つたきりですね。』
とは言《い》はなくなりました。

   五二 炬燵《こたつ》

いろ/\な話《はなし》の出《で》る山家《やまが》のあたゝかい炬燵《こたつ》。
鳥《とり》がとまりに行《ゆ》くところは木《き》です。子供《こども》が冷《つめた》いからだを温《あたゝ》めに行《ゆ》くところは、家《うち》のものゝ顏《かほ》の見《み》られる炬燵《こたつ》です。

   五三 唄《うた》の好《す》きな石臼《いしうす》

石臼《いしうす》ぐらゐ唄《うた》の好《す》きなものは有《あ》りません。石臼《いしうす》ぐらゐ、又《また》、居眠《ゐねむ》りの好《す》きなものも有《あ》りません。
冬《ふゆ》の夜長《よなが》に、粉挽《こなひ》き唄《うた》の一つも歌《うた》つてやつて御覽《ごらん》なさい。唄《うた》の好《す》きな石臼《いしうす》は夢中《むちう》になつて、いくら挽《ひ》いて
前へ 次へ
全171ページ中134ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
島崎 藤村 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング