」の左上が「幸」、178−8]《あつ》い灰《はひ》の中《なか》に埋《う》まつて居《ゐ》た柿《かき》の穴《あな》からは、ぷう/\澁《しぶ》を吹出《ふきだ》しまして、燒《や》けた柿《かき》がそこへ出來上《できあが》りました。
『さあ、私《わたくし》も食《た》べて見《み》て下《くだ》さい。』
とその柿《かき》が父《とう》さんに御馳走《ごちさう》して呉《く》れるのを貰《もら》ひまして、黒《くろ》く燒《や》[#「ルビの「や」は底本では「た」]けた柿《かき》の皮《かは》をむきましたら、軒下《のきした》に釣《つ》るして乾《ほ》した柿《かき》でもなく、霜《しも》に逢《あ》つて甘《あま》くなつた柿《かき》でもなく、その爐邊《ろばた》でなければ食《た》べられないやうな、おいしい變《かは》つた味《あぢ》の柿《かき》でした。

   四九 山《やま》の中《なか》へ來《く》る冬《ふゆ》

東京《とうきやう》で『ネツキ』といふ子供《こども》の遊《あそ》びのことを父《とう》さんの田舍《ゐなか》では『シヨクノ』と言《い》ひます。山《やま》の中《なか》は山《やま》の中《なか》なりに子供《こども》の遊《あそ》びにも流行《
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