《つく》る家《うち》でした。そこの家《うち》でお風呂《ふろ》が立《た》てば父《とう》さんのお家《うち》へ呼《よ》びに來《き》ましたし、父《とう》さんのお家《うち》でお風呂《ふろ》が立《た》てばお隣《となり》りからも呼《よ》ばれて入《はひ》りに來《き》ました。田舍《ゐなか》のことで、日《ひ》が暮《く》れてからお隣《とな》りまでお風呂《ふろ》を呼《よ》ばれに行《い》くにも、祖母《おばあ》さん達《たち》は提灯《ちやうちん》つけて通《かよ》ひました。二|軒《けん》の家《うち》のものは、それほど親《した》しく往《い》つたり來《き》たりしましたから、子供同志《こどもどうし》も互《たがひ》に親《した》しい遊《あそ》び友達《ともだち》でした。それに、お隣《とな》りの鐵《てつ》さんでも、その妹《いもうと》のお勇《ゆう》さんでも、祖父《おぢい》さんのお弟子《でし》として父《とう》さんのお家《うち》へ通《かよ》つて來《き》ました。父《とう》さんのお家《うち》の方《はう》から見《み》ますと、大黒屋《だいこくや》は一段《いちだん》と高《たか》い石垣《いしがき》の上《うへ》にありまして、その石垣《いしがき》のすぐ
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