はか》り精微《せいび》の情《じよう》を寫《うつ》して己が才力を著はさんとするのみと[#「己が才力を著はさんとするのみと」に白三角傍点]。再《ふたゝ》び曰《いは》く、その原因の如きはもとより心を置くにあらずと[#「その原因の如きはもとより心を置くにあらずと」に白丸傍点]。末段《まつだん》更《さら》に、財主《ざいしゆ》の妹《いもうと》を殺《ころ》したる一條《いちじよう》を難《なん》じて「その氣質《きしつ》はかねて聞《きゝ》たる正直質樸《せうじきしつぼく》のものたるに、これをも殺したるはいかにぞや[#「これをも殺したるはいかにぞや」に白三角傍点]………さてはのち我《われ》にかへりて大にこれを痛み悔ゆべきに[#「大にこれを痛み悔ゆべきに」に白三角傍点]、」云々と言《い》はれたり。
 余《よ》は學海居士《ガクカイコジ》の批評《ひゝよう》に對《たい》して無用《むよう》の辨《べん》を費《つい》やさんとするものにあらず、右《みぎ》に引《ひ》きたるは、居士《コジ》の批評法《ひゝやうほふ》の如何《いか》に儒教的《じゆけふてき》なるや、いかに勸善懲惡的《くわんぜんてふあくてき》なるやを示《しめ》さんとしたる
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