》が儒家《じゆか》らしき文氣《ぶんき》と馬琴《バキン》を承《う》けたる健筆《けんひつ》に欽羨《きんせん》するものなるが、罪《つみ》と罰《ばつ》に對《たい》する居士《コジ》の評文《ひようぶん》の餘《あま》りに居士《コジ》を代表《だいひよう》する事《こと》の多《おほ》きには聊《いさゝ》か當惑《とうわく》するところなき能《あた》はざりし。
 居士《コジ》は、人命犯《じんめいはん》には必《かな》らず萬已むを得ざる原因ある[#「萬已むを得ざる原因ある」に白三角傍点]事《こと》を言《い》ひ、財主《ざいしゆ》の老婆《ろうば》が、貪慾《どんよく》を憤《いきど》ふるのみの一事《いちじ》にして忽《たちま》ち殺意《さつい》を生《せう》ずるは殺人犯の[#「殺人犯の」に傍点]原因としては甚だ淺薄なりと[#「原因としては甚だ淺薄なりと」に白三角傍点]言《い》ひ、而《しか》して自《みづか》ら辨《べん》じて言《い》はるゝは、作者《さくしや》の趣意《しゆい》は、殺人犯《さつじんはん》を犯《おかし》たる人物《じんぶつ》は、その犯後《はんご》いかなる思想《しそう》を抱《いだ》くやらんと心《こゝろ》を用《もち》ひて推測《おし
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