じていじょこく》を免れず。東塗西抹《とうとせいまつ》、命の蹇《けん》し時の乖《そむ》けるを救わず。偶《たまたま》不平を以って鳴けば、遽《にわか》に多言の咎《とがめ》を獲、悔、臍《ほぞ》を噬《か》むも及ぶなし。尾を揺《うご》かして憐を乞うを恥ず。今其罪名を責むるを蒙り、其状を逼《せま》らる。伏して竜鱗を批《う》ち竜頷を探る。豈《あ》に敢て生を求めんや。虎頭《ことう》を料《はか》り虎鬚《こしゅ》を編む。固より禍を受くるを知る。言此に止まる。伏して乞う之を鑑《かんがみ》よ。
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※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の供書は吏員の手から王の前へ往った。王はその供書を見てから言った。
「令狐※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の持論は正しい、志も回《よこしま》でない、条理も立っている、罪を加えることができない、放還して遺直を彰《あらわ》すがよい」
王はその後で言った。
「烏老はやはり捕えてきて、獄に置かなくてはならない」
※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]はそこで最初の鬼使の二人に送られて帰ることになった。※[#「言+饌のつ
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