5−9]《ぐんせいこんてん》、衆類冥頑《しゅうるいめいがん》、或は悪を長じて以て悛《あらた》めず、或は凶を行うて自ら恣《ほしいまま》にす。強を以て弱を凌ぎ、富を恃《たの》み貧を欺く、上は君親に孝ならず。下は宗党に睦しからず。財を貪り義に悖《もと》り、利を見て恩を忘る。天門高くして九重知ることなく、地府深くして十殿是れ列れり。※[#「坐+りっとう」、第3水準1−14−62]焼舂磨《ざしょうしょうま》の獄を立て、輪廻報応《りんえほうおう》の科を具《そな》う。善をなす者をして勧んで益《ますます》勤め、悪をなす者をして懲りて戒めを知らしむ。法の至密、道の至公《しこう》と謂うべし。然して威令の行わるる所、既に前に瞻《み》て後に仰ぎ、聡明の及ぶ所、反って小を察して大を遺《わす》る。貧者は獄に入りて殃《わざわい》を受け、富者は経を転じて罪を免る、惟《これ》傷弓《しょうきゅう》の鳥を取り、毎《つね》に呑舟《どんしゅう》の魚を漏す。賞罰の条、宜しく是の如くなるべからず。※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の如き者に至りては、三生の賤士、一介の窮儒、左枝右梧《さしうご》するも、未だ児啼女哭《
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