令狐生冥夢録
田中貢太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)鬼神変化《きじんへんげ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)金銭|便《すなわ》ち魂を返す

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   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)令狐※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]《れいこせん》
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 令狐※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]《れいこせん》という儒者があった。非常な無神論者で、鬼神変化《きじんへんげ》幽冥果報《ゆうめいかほう》というようなことを口にする者があると、かたっぱしから折破《せっぱ》して、決して神霊の存在を許さなかった。それに生れつき剛直で世に恐れるものがなかったので、傲誕自得《ごうたんじとく》という有様であった。
 ※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の家の近くに烏老《うろう》という富豪があった。その烏老はありあまる身分でありながら、強欲で貪ることばかりやっていたところで、ある夜急病が起って死んでしまった。※[#「言+饌
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