員がおり、また鬼卒も控えていた。
 鬼使は※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]を階段の下へ連れて往って、そこへ押し据えるようにした。
「ここに控えておれ」
 ※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]はそこへ跪《ひざまず》いた。と、一人の鬼使は※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の傍に残り、一人は階段を登って殿上へ往った。
「令狐※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]を捕えてまいりました」
 すると王が頷いて、※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の方を見おろして激しい声で言った。
「その方は儒書を読んでおりながら、自分の身を検束することを知らないで、みだらな辞《ことば》を吐いて、我が官府をそしるとは、何事だ、その方を犁舌獄《りぜつごく》へ下すからそう思え」
 その声が終るか終らないかに、三四人の鬼卒が※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の処へ走ってきた。※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]はもう両手を掴まれ、頭髪を掴まれた。※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]は懼《おそ》れて傍にある
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