ん
富豪容易に天恩を受く
早く善悪|都《すべ》て報《むくい》なしと知らば
多く黄金《こがね》を積んで子孫に遺さん
[#ここで字下げ終わり]
詩が出来ると※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]は面白そうにそれを朗吟した。
その夜※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]は、自分の室《へや》で独り燭を明るくして坐っていた。もうかなり夜が更けて四辺《あたり》がしんとしていた。
※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]の頭には楮幣《ちょへい》を焚いたがために甦ったという烏老のことや、昼間に作って朗吟していた詩の文句などがいっぱいになっていた。※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]は何かしら誇りを感じて得意になっていた。
室の中へ何者かがつかつかと入ってきた。※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]はふと顔をあげた。獰猛《どうもう》な顔をした人とも鬼とも判らない者が二人入ってきたところであった。
「地府《じごく》から命を受けて、その方を逮捕にまいった」
鬼使は※[#「言+饌のつくり」、第3水準1−92−18]に向ってきた。※[#「言+
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