で累の婿養子になったものであったが、累が醜いうえにやかましいので、それを亡くして他から※[#「女+朱」、第3水準1−15−80]な女を後妻にもらおうと思って残忍にも累を殺したのであった。
与右衛門は何人《だれ》にも知られないで安やすと累を亡いものにしたので、後妻をもらうことにしたが、与右衛門の家には家についた田畑が多く従って家も豊かであるから後妻はすぐ見つかった。与右衛門は思うとおりになったので、秘《ひそか》に喜んでいると、その後妻はすぐ病気になって死んでしまった。
与右衛門はそこで三人目の女房を迎えたが、その女房もすぐ病気で死んでしまった。残忍な与右衛門もこれには神経を悩ましたと思われるが、それでも好い女房をもらうために義理ある女房を殺すほどの男であるからそのままにはいなかった。彼は四人目の女房を迎え、五人目の女房を迎えたが、それもすぐ死んでしまって、六人目に迎えた女房だけは、すぐ死なないで女の子を生んだ。女の子にはお菊《きく》と云う名をつけた。
与右衛門はそれでも女房のことを心配していたが、それは寛文《かんぶん》十一年|即《すなわ》ちお菊《きく》が十三の八月まで生きてその月の
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