いる。
李希梅がそこへ静かに入って来る。
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李希梅 先生。
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蒲留仙はうっとりした眼をあげる。李希梅はそれに向ってうやうやしく話をする。
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蒲留仙 李君か、よく来た、まァ掛けたまえ。
李希梅 はい。
蒲留仙 茶はどうだね、あげようかね。
李希梅 あとでいただきます、ほしくはありませんから。
蒲留仙 では淡巴菰は。
李希梅 は、今は、何もほしくはありませんから、あとでまた。
蒲留仙 では、まァ掛けたまえ。
李希梅 はい。【蒲留仙の左側へいって腰を掛けながら】先生、今、葉生が来ていたのでしょう。
蒲留仙 来ていたよ、【と、筆を置き、紙を巻いてそれも硯の側に置いて】逢ったかね。
李希梅 逢いました。今日は、あの男、どんな話をしていったのです。
蒲留仙 いや面白い話をしていったよ。
李希梅 今、世説にある話をしやしなかったのですか。
蒲留仙 どうして、君は、それを知ってるかね[#「知ってるかね」は底本では「知つてるかね」]、【笑い顔を
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