してくだされ」
「あなたは神様だ、どうかその霊薬をくだされ」
「どうぞ、それを分けてくだされ」
彼らは口々に言いながら手を出した。李生は喜んだ。彼は石綿を片端から撮みとって、漏れなく皆の手へ渡してやった。
榻の上では大王が悶絶をはじめた。李生は飛んで往って榻の後ろの壁に懸けた二振の刀を執って、それを抜きながら振り返った。部下の者も皆悶絶をはじめてのた打っていた。
大王はもう動かなかった。李生はその刀を大王の首へ当てた。大王の首はころりと落ちた。李生は部下の方へ進んで往った。部下も片端から李生の刀を受けた。それが三十六個もあった。
三人の女は榻の傍へつっ伏して震えていた。李生はそれも妖怪であろうと思ったので、刀を持ってそれに迫って往った。
「助けてください、私達は怪しい者ではありません、ここへ連れられてきた者でございます」
一人の女が一生懸命の声を出して叫んだ。
「怪しい者ではありません、助けてください」
他の一人の女も叫んだ。李生は刀を控えた。
「お前達は、どこからきた者だ」
「私は府城からきた者でございます」
二ばん目に叫んだ女が言った。李生は数ヶ月前にいなくなった豪家
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