いて斉襄《せいじょう》※[#「歹+且」、第3水準1−86−38]《そ》す。禍を降し妖をなし、※[#「宀/火」、第4水準2−79−59]《さい》を興し薜《せつ》をなす。是を以て九天邪を斬るの使を設け、十地悪を罰するの司を列ね、魑魅魍魎《ちみもうりょう》をして以てその奸を容るる無く、夜叉《やしゃ》羅刹《らせつ》をして、その暴を肆《ほしいまま》にするを得ざらしむ。矧《いわ》んやこの清平の世、坦蕩《たんとう》の時においておや。而るに形躯《けいく》を変幻し、草木に依附《いふ》し、天|陰《くも》り雨|湿《うるお》うの夜、月落ち参《しん》横たわるの晨《あした》、梁《うつばり》に嘯《うそぶ》いて声あり。その室を窺えども睹《み》ることなし、蠅営狗苟《ようえいくこう》、羊狠狼貪《ようこんろうたん》、疾《はや》きこと飃風《ひょうふう》の如く、烈しきこと猛火の若《ごと》し。喬家の子生きて猶お悟らず、死すとも何ぞ恤《うれ》えん。符氏の女死して尚お貪婬《たんいん》なり、生ける時知るべし。況んや金蓮の怪誕なる、明器を仮りて以て矯誣《きょうふ》し、世を惑わし民を誣《し》い、条に違い法を犯す。狐|綏々《すいすい》として
前へ
次へ
全19ページ中17ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
田中 貢太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング