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 金蓮は、
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伏して念う、某、殺青《さっせい》を骨《こつ》となし、染素《せんそ》を胎《たい》と成し、墳※[#「土へん+龍」、第3水準1−15−69]《ふんろう》に埋蔵せらる。是れ誰か俑《よう》を作って用うる。面目|機発《きはつ》、人に比するに体を具えて微なり。既に名字の称ありて、精霊の異に乏しかるべけんや。因って計を得たり。豈《あに》敢《あえ》て妖をなさんや。
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 武士はその供書を道人の前へさしだした。道人はこれを見て判決をくだした。
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蓋《けだ》し聞く、大禹《たいう》鼎《かなえ》を鋳《い》て、神姦鬼秘《しんかんきひ》、その形を逃るるを得るなく、温※[#「山+喬」、第3水準1−47−89]《おんきょう》犀《さい》を燃して、水府竜宮、倶《とも》にその状を現わすを得たりと。惟《こ》れ幽明の異趣、乃《すなわ》ち詭怪《きかい》の多端、之に遇えば人に利あらず、之に遭えば物に害あり。故に大※[#「厂+萬」、第3水準1−14−84]《だいれい》門に入りて晋景《しんけい》歿《ぼっ》し、妖豕《ようし》野《の》に啼
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