見ると、この世に唯一の自分の友が此人だと言ふ限りない慕しさが胸に湧いた。
『濟まないわ、このお話するのは!』
『マ清子さん!……貴女|其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《そんな》に……私になら何だつて言つて下すつたつて可《い》いわ。貴女許りよ、私姉さんの樣に思つてるのは!』
『……私ね……眞箇《ほんと》の姉妹になりたかつたの、貴女と。』
然う言つて清子は靜子の手を握る。
『解つてよ。』と、靜子は聞えるか聞えぬかに言つて、眤《ぢつ》と眼を瞑ぢた。其眼から涙が溢れる。
『嬉しいわ、私は。』と清子は友の手を強く引く。二人の涙は清子の膝に落ちた。
 そして言つた。『私信吾さんに逢つて頂いてよ、此方の方の話があつた時……忘れないわ、去年の七月二十三日よ、鶴飼の上の觀音樣の杜で。』
『…………』
『私|甚※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《どんな》に……男の方は矢張り氣が強いわねえ!』
『何と言つて其時、兄が?』
『……此家へ來る事を勸めて下すつたわ、あの、兄樣は。』
『マ然《さ》う!』靜子は強く言つて。そし
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