7]《あんな》に生れついちやお気毒なもんですね。顔だつても綺麗だし、話して見ても色ンな事を知つてますが……。』
『えゝえゝ。』とお柳は俄かに真面目臭つた顔をして、『それやモウ山内さんなんぞは、体こそ那※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]でも、兎に角一人で喰つて行くだけの事をしてらつしやるんだから立派なもので御座いますが、家《うち》の昌作叔父さんと来たらマア怎《ど》うでせう! 町の人達も嘸《さぞ》小川の剰《あまさ》れ者だつて笑つてるだらうと思ひましてね。』
『其※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]ことは御座いません……。』
と加藤が何やら言はうとするのを、お柳は打消す様にして、
『学校は勝手に廃《や》めて来るし、那《ああ》して毎日|碌々《ごろごろ》してゐて何をする積りなんですか。私は這※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《こんな》性質《たち》ですから諄々《つべこべ》言つて見ることも御座いますが、人の前ぢや眼許りパチクリ/\さしてゐて、カラもう現時《いま》の青年《わ
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