》の漢詩《からうた》も
なかば忘れぬ
むやむやと
口の中《うち》にてたふとげの事を呟《つぶや》く
乞食《こじき》もありき
とるに足らぬ男と思へと言ふごとく
山に入《い》りにき
神のごとき友
巻煙草《まきたばこ》口にくはへて
浪《なみ》あらき
磯《いそ》の夜霧に立ちし女よ
演習のひまにわざわざ
汽車に乗りて
訪《と》ひ来《き》し友とのめる酒かな
大川《おほかは》の水の面《おもて》を見るごとに
郁雨《いくう》よ
君のなやみを思ふ
智慧《ちゑ》とその深き慈悲《じひ》とを
もちあぐみ
為《な》すこともなく友は遊べり
こころざし得《え》ぬ人人の
あつまりて酒のむ場所が
我が家なりしかな
かなしめば高く笑ひき
酒をもて
悶《もん》を解《げ》すといふ年上の友
若くして
数人《すにん》の父となりし友
子なきがごとく酔《ゑ》へばうたひき
さりげなき高き笑ひが
酒とともに
我が腸《はらわた》に沁《し》みにけらしな
※[#「呎」の「尺」に代えて「去」、第3水準1−14−91]呻《あくび》噛《か》み
夜汽車の窓に別れたる
別れが今は物足《ものた》らぬかな
雨に濡れし夜汽車の窓に
映《う
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