っぱり教師の方が御上手なんですよ。書く方は性《しょう》に合わないんですよ」
「よくそんな事がわかるな」
細君は俯向《うつむ》いて、袂《たもと》から鼻紙を出してちいんと鼻をかんだ。
「私ばかりじゃ、ありませんわ。御兄《おあにい》さんだって、そうおっしゃるじゃありませんか」
「御前は兄の云う事をそう信用しているのか」
「信用したっていいじゃありませんか、御兄さんですもの、そうして、あんなに立派にしていらっしゃるんですもの」
「そうか」と云ったなり道也先生は火鉢《ひばち》の灰を丁寧に掻《か》きならす。中から二寸|釘《くぎ》が灰だらけになって出る。道也先生は、曲った真鍮《しんちゅう》の火箸《ひばし》で二寸釘をつまみながら、片手に障子をあけて、ほいと庭先へ抛《ほう》り出した。
庭には何にもない。芭蕉《ばしょう》がずたずたに切れて、茶色ながら立往生をしている。地面は皮が剥《む》けて、蓆《むしろ》を捲《ま》きかけたように反《そ》っくり返っている。道也先生は庭の面《おもて》を眺《なが》めながら
「だいぶ吹いてるな」と独語《ひとりごと》のように云った。
「もう一遍足立さんに願って御覧になったらどうで
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