こ》のうなりのように鳴る。
「あなた、いつまでこうしていらっしゃるの」と細君は術《じゅつ》なげに聞いた。
「いつまでとも考はない。食えればいつまでこうしていたっていいじゃないか」
「二言目《ふたことめ》には食えれば食えればとおっしゃるが、今こそ、どうにかこうにかして行きますけれども、このぶんで押して行けば今に食べられなくなりますよ」
「そんなに心配するのかい」
 細君はむっとした様子である。
「だって、あなたも、あんまり無考《むかんがえ》じゃござんせんか。楽に暮せる教師の口はみんな断《ことわ》っておしまいなすって、そうして何でも筆で食うと頑固《がんこ》を御張りになるんですもの」
「その通りだよ。筆で食うつもりなんだよ。御前もそのつもりにするがいい」
「食べるものが食べられれば私だってそのつもりになりますわ。私も女房ですもの、あなたの御好きでおやりになる事をとやかく云うような差し出口はききゃあしません」
「それじゃ、それでいいじゃないか」
「だって食べられないんですもの」
「たべられるよ」
「随分ね、あなたも。現に教師をしていた方が楽で、今の方がよっぽど苦しいじゃありませんか。あなたはや
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