れた先の、しだいに細まりてかつ丸く、つやある爪に蔽《おお》われたのが好《い》い感じである。指は細く長く、すらりとした姿を崩《くず》さぬほどに、柔らかな肉を持たねばならぬ。この調《ととの》える姿が五本ごとに異ならねばならぬ。異なる五本が一つにかたまって、纏《まと》まる調子をつくらねばならぬ。美くしき手を持つ人は、美くしき顔を持つ人よりも少ない。美くしき手を持つ人には貴《たっと》き飾りが必要である。
女は燦《さん》たるものを、細き肉に戴《いただ》いている。
「その指輪は見馴《みな》れませんね」
「これ?」と重ねた手は解《と》けて、右の指に耀《かがや》くものをなぶる。
「この間父様に買っていただいたの」
「金剛石《ダイヤモンド》ですか」
「そうでしょう。天賞堂から取ったんですから」
「あんまり御父さんを苛《いじ》めちゃいけませんよ」
「あら、そうじゃないのよ。父様の方から買って下さったのよ」
「そりゃ珍らしい現象ですね」
「ホホホホ本当ね。あなたその訳《わけ》を知ってて」
「知るものですか、探偵《たんてい》じゃあるまいし」
「だから御存じないでしょうと云うのですよ」
「だから知りませんよ」
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