―君妙な咳《せき》を時々するが、身体《からだ》は丈夫ですか。だいぶ瘠《や》せてるようじゃありませんか。そう瘠せてちゃいかん。身体が資本だから」
「しかし先生だって随分瘠せていらっしゃるじゃありませんか」
「わたし? わたしは瘠せている。瘠せてはいるが大丈夫」
七
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白き蝶《ちょう》の、白き花に、
小《ちさ》き蝶の、小き花に、
みだるるよ、みだるるよ。
長き憂《うれい》は、長き髪に、
暗き憂は、暗き髪に、
みだるるよ、みだるるよ。
いたずらに、吹くは野分《のわき》の、
いたずらに、住むか浮世に、
白き蝶も、黒き髪も、
みだるるよ、みだるるよ。
[#ここで字下げ終わり]
と女はうたい了《おわ》る。銀椀《ぎんわん》に珠《たま》を盛りて、白魚《しらうお》の指に揺《うご》かしたらば、こんな声がでようと、男は聴《き》きとれていた。
「うまく、唱《うた》えました。もう少し稽古《けいこ》して音量が充分に出ると大きな場所で聴いても、立派に聴けるに違いない。今度演奏会でためしにやって見ませんか」
「厭《いや》だわ、ためしだなんて」
「
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