から病気はどうだと聞かれた。中には少し瘠《や》せたようですねと云うものもあった。宗助にはそれが無意識の冷評の意味に聞えた。菜根譚《さいこんたん》を読む男はただどうです旨《うま》く行きましたかと尋ねた。宗助はこの問にもだいぶ痛い思をした。
 その晩はまた御米と小六から代る代る鎌倉の事を根掘り葉掘り問われた。
「気楽でしょうね。留守居《るすい》も何もおかないで出られたら」と御米が云った。
「それで一日《いちんち》いくら出すと置いてくれるんです」と小六が聞いた。「鉄砲でも担《かつ》いで行って、猟《りょう》でもしたら面白かろう」とも云った。
「しかし退屈ね。そんなに淋《さむ》しくっちゃ。朝から晩まで寝ていらっしゃる訳にも行かないでしょう」と御米がまた云った。
「もう少し滋養物が食える所でなくっちゃあ、やっぱり身体《からだ》によくないでしょう」と小六がまた云った。
 宗助はその夜床の中へ入って、明日《あした》こそ思い切って、坂井へ行って安井の消息をそれとなく聞き糺《ただ》して、もし彼がまだ東京にいて、なおしばしば坂井と往復があるようなら、遠くの方へ引越してしまおうと考えた。
 次の日は平凡に宗助
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